診療科・部門ご案内

アレルゲン免疫療法

アレルゲン免疫療法について

アレルギー性鼻炎や気管支喘息(ぜんそく)でお困りのお子さんも多いと思います。最近、これらの治療法のひとつとしてスギ花粉やダニエキスによるアレルゲン免疫療法が注目されています。これは飲み薬や吸入薬による治療と違い、体質そのものを改善する治療ですので、効果が得られれば薬に頼らない生活が期待できます。

アレルゲン免疫療法には、以下にお示しする皮下免疫療法と舌下免疫療法があります。当院では、両者のメリットとデメリットを十分に説明した上で治療を選択していただいています。また、舌下免疫療法で治療を開始したけれども継続できない場合には、皮下免疫療法に切り替えることも可能です。できるだけ継続可能な方法をご本人・ご家族と相談させていただいたうえで治療を行います。

■ 皮下免疫療法について
アレルギーの治療としてずいぶん前から減感作療法が行われてきました。これは外来で週1〜2回、アレルギーを起こす物質(アレルゲンと言います)を皮下注射する方法で、およそ3年間の通院が必要でした。実際には、お子さんの場合、長期にわたって通院を続けることが困難となることも多く、さらに治療効果が表れるのに時間がかかるという難点がありました。そこで、新たな治療法としてダニやスギ花粉エキスを用いた急速皮下免疫療法が行われるようになりました。この方法は、一定のリスクはありますが、月1回の外来受診で済み、これまでの方法に比べ早期に治療効果が得られると言われています。
⑴ 方法
入院のうえ、ダニやスギ花粉エキスを1日に数回皮下注射し、低濃度から徐々に濃度を増やします。およそ3〜5日間で維持濃度に到達後、外来通院に移行し、月に1回のペースで定期的に皮下注射を行います。治療効果にもよりますが、外来での治療を3年程度続けます。
⑵ 安全対策
急速免疫療法を行うにあたり、以下の安全対策を行っています。なお、治療開始当初は、ほとんどのお子さんで注射部位が腫れたり赤くなったりしますが、軽度であれば特に問題になることはありません。

① 治療開始早期にアレルギー症状が出る可能性が高いため、増量期は原則入院して皮下注射を行います。

② 治療を開始する際には、あらかじめ飲み薬や吸入薬を使ってアレルギー症状が出るのを予防します。

③ 喘息(ぜんそく)をお持ちのお子さんには治療前に呼吸機能検査を行い、治療が行なえるかどうかを慎重に判断します。

⑶ 当院での実績
当院では2014年3月以来、急速皮下免疫療法をダニ62例、スギ15例に行ってきました。
★ スギ花粉エキスによる急速皮下免疫療法
夏休みに治療を開始した場合、翌年のスギ花粉の飛散シーズンは飲み薬だけで過ごせるようになり、その次のシーズンには飲み薬も不要となるお子さんもおられます。
★ダニエキスによる急速免疫療法
ダニエキスは、全身性副反応が出現する可能性が比較的高いのですが、治療を開始して数か月後に早くも鼻炎に対する治療効果が現れることがあります。気管支喘息(ぜんそく)のお子さんでも治療開始半年から1年で飲み薬や吸入薬を減らすことができた方もおられます。しかし、病気の経過が長く気道の慢性炎症が続いているお子さんでは治療効果が乏しい傾向にありますので、早期の治療開始が重要と思われます。

■ 舌下免疫療法について
皮下免疫療法と同様に、スギ花粉やダニエキスによる治療が可能です。当院では、2017年度までにスギは15例、ダニは10例のお子さんに導入しました。この治療法は、これまでは12歳以上のお子さんが対象でしたが、一部の薬剤は年齢制限が解除となっています。
初回は病院で舌下投与(具体的には舌の下に薬を1〜2分間置いていただきます)していただき、30分間の観察を行います。問題がなければ、以降は自宅でスギ花粉やダニエキスを舌下投与していただきます。原則的には月に1回のペースで外来を受診していただき服薬状況を確認します。
比較的安全性は高いのですが、長続きしにくいのが難点です。特に、導入から1か月以内に口内炎や口腔内の違和感といった局所症状が出現しやすく、増量するペースを緩やかにしたり、吐き出し法を併用するといった工夫が必要な場合があります。