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医療安全管理室

八尾市立病院におけるインシデント報告について

八尾市立病院におけるインシデント報告について

当院では、地域の方々に安心して医療を受けていただくために医療安全の推進に日々積極的に取り組んでいます。その1つにインシデント報告の収集・分析があり、それをもとにして様々な改善策の検討を行っています。令和2年度から医療安全活動の一環として、インシデントの年間報告状況を公表します。

1. 用語について

ヒヤリハット
誤った医療行為や管理に起因するもの、あるいは明らかな誤りはないが、医療行為や管理上の問題に起因するもので、結果として患者さまに重大な身体的影響を及ぼさなかったものをいいます。具体的には、実施される前に発見された場合、実施されたが実害がない場合、処置・治療は必要ないが、観察の強化などを要した場合、簡単な治療や処置を要した場合が該当します。
有害なインシデント
誤った医療行為や管理に起因するもの、あるいは明らかな誤りはないが、医療行為や管理上の問題に起因するもので、結果として患者さまに一定以上の身体的影響が及んだものをいいます。具体的には、濃厚な処置や治療を要した場合、後遺症や障害が残った場合、死亡した場合が該当します。

※ 2023 年発行の「日本医療安全学会・医療の質・安全学会合同用語編纂委員会」による「医療安全用語集」の推奨に基づき、2024 年3 月に更新した当院の「医療安全管理指針」にて用語の定義を見直すと共にホームページの文言も変更しました。

2.身体的被害の影響度分類

分類 レベル 内容
ヒヤリハット 医療行為や管理上に誤りまたは問題があったが、実施されなかった
医療行為や管理上に誤りまたは問題があり実施されたが、実害はなかった
処置や治療は行わなかったが、観察の強化、バイタルサイン(呼吸・脈拍・血圧・体温・意識レベルなど)の軽度の変化、安全確認のための検査などの必要性が生じた
3a 簡単な処置や治療を要した(消毒、湿布、皮膚の縫合、鎮静剤の投与など)
有害な
インシデント
3b 濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの大きな変化、人工呼吸器の装着、手術、骨折、入院日数の延長、外来患者の入院など)
4a 永続的な障害や後遺症が残ったが、明らかな機能障害や美容上の問題を伴わない
4b 永続的な障害や後遺症が残り、明らかに機能障害や美容上の問題を伴う
死亡(原疾患の自然経過によるものを除く)

2024(令和6)年度インシデント報告件数

1)集計期間:2024年4月1日~2025年3月31日
2)レベル別集計
ヒヤリハット(レベル 0、1、2、3a):1432件
有害なインシデント(レベル 3b、4a、4b、5):11件

影響度レベル 報告件数(件)
321
497
579
3a 365
3b 14
4a 0
4b 0
0
1776

※ 医療行為による合併症や医療行為・管理と直接関係のないものは含みません。

3)内容別集計

内容 報告件数(件) 発生頻度(%)
医療用チューブ類に関すること 389 21.9
医薬品に関すること(輸血を含む) 484 27.3
院内での転倒・ベッドからの転落 292 16.4
検査に関すること 123 6.9
治療・処置に関すること 51 2.9
医療機器に関すること 39 2.2
その他(※) 398 22.4

※ その他には、褥瘡・スキンテア・食事に関するものなどを含みます。

4)総括
インシデント報告は、医療安全の観点から日常業務の改善や職員の意識づけにつながる重要な役割を果たすものです。報告されたインシデント内容を職員で共有し、対策案を検討し決定された改善策を実行することで、レベル4b、レベル5に相当する重大な医療過誤を未然に防ぐことにつながります。またインシデント報告の件数は、医療安全活動の透明性の目安とされ、病床数の5 倍、その内1 割が医師からの報告が望ましいとされています。令和6 年度の総報告数は1776件であり、医師からの報告割合は10.8%と増加しました。高齢者が関わるインシデントは全体の6割越えで低減に向けた取り組みとして、認知症看護認定看護師とカンファレンスやラウンドを継続し患者さんの安全な療養環境の調整を継続しています。しかし本年度は転倒による骨折の事象が発生しました。そのため、患者さんやその家族が医療チームの一員として医療に参加できるよう、入院前から転倒転落の危険性を評価し入院時に共有できる仕組みを作り実践しています。
今後も引き続き安全で良質な医療が提供できるよう医療安全の向上に努め、市民・患者の皆さまに信頼され、愛される病院運営をめざしていきます。