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スポーツ障害・関節障害

スポーツ障害・関節障害

対象疾患

    膝前十字靭帯損傷
    膝蓋骨脱臼、亜脱臼
    半月損傷
    軟骨損傷、離断性骨軟骨炎
    アキレス腱断裂
    変形性膝関節症、膝関節骨壊死の治療に関する詳細はこちらを参照


治療方針

<膝前十字靭帯損傷>

膝前十字靭帯は自然治癒する可能性は極めて低く、手術療法が有効な治療法です。自分の腱を移植して前十字靭帯を再建する方法が一般的な方法です。関節鏡下に靱帯の再建術を行います。移植する腱として①内側ハムストリング腱(主に半腱様筋腱)または②骨付き膝蓋腱を使用します。
再建方法は、本来の前十字靭帯の骨への付着部に骨孔(トンネル)を作成して、採取した腱を挿入します。移植腱の固定にはチタン合金性の小さなボタンやプレート、スクリューを用います。
半月板損傷や関節軟骨損傷を合併している場合には同時に半月や関節軟骨に対する処置も行います。半月損傷に対しては、可能な限り縫合術を行いますが、損傷程度が強くて縫合が不可能と判断した場合には切除術となります。入院期間は約3~4週間となります。術翌日から車いすを用いて病棟内での移動は可能となります。半月板、軟骨損傷等の合併損傷がある場合は損傷形態、治療方法によりプログラムは変わります。

通常の場合の術後リハビリテーションプログラム:
術後2週~:可動域訓練開始
2週~:患側1/3荷重(体重の1/3)開始し、退院(両松葉杖が必要)
3週~:2/3荷重(体重の2/3)開始
4週~:全荷重歩行開始

術後3カ月からジョギング、4か月からダッシュやジャンプ、5か月からサイドカットなどの膝のひねり動作を許可しています。
練習への部分参加は6カ月、試合復帰(全力動作)は8か月以降に許可しています。

<半月損傷>

半月板とは?
膝関節の機能を維持するための大切な組織です。主な役割として、①膝の衝撃吸収(クッションとしての役割) ②膝の荷重分散(膝の骨ににかかる荷重を関節面全体に分散させる役割) ③膝の安定性(関節の安定には靭帯だけでなく半月坂も重要な役割を果たしています)など、知られています。
柔らかい組織で構成されており、スポーツ中の強い外傷で損傷する場合があります。損傷の形態には 1)縦断裂 2)横断裂 3)水平断裂 3)変性断裂などがあります。治療方針は損傷形態により異なります。

治療方法

<保存治療>
保存的治療として、筋力トレーニング(特に大腿四頭筋)や装具治療、減量があります。これだけで半月機能を改善させることは不可能ですが、時間がたてば次第に疼痛は軽減する可能性があります。将来的に膝の痛みや引っかかり感が増悪するようなら手術が必要となります。

<手術療法>
保存治療で痛みやひっかかり感などが改善しない場合には手術療法が選択されます。いろいろな手術方法がありますが関節鏡を用いて損傷した半月板を1)縫合する 2)(部分)切除する 方法があります。

半月板縫合
半月縫合術の場合、損傷した半月に糸をかけて縫い合わせます。断裂形態により縫合の方法は変わりますが、通常は関節の中から関節の外にむけて半月板に糸をかけて縫合する方法を行っています。その場合、膝の横に約3~4cmの皮膚切開を行う必要があります。

損傷した半月板(左図)に糸をかけて縫合した状態(右図)

縫合術を行った場合には術後1~3週間 膝固定装具(ニーブレース)を装着します。その間は体重をかけることはできません。(松葉杖や車椅子を使用)
・術後1~3週間:可動域訓練開始
松葉杖使用し部分的に体重をかけ始めます
・術後3ヶ月:ジョッギング開始
・4~5ヶ月:ランニング、ダッシュ、ジャンプ開始
・6ヶ月:筋力や可動域に異常がなければ競技復帰
*あくまで目安ですので、スポーツ動作の開始については個別に主治医の許可が必要です。

半月板(部分)切除術
半月が損傷してから時間が経っている場合、半月板が変性(質が悪くなる)していることがあります。このような半月板は治癒能力が極めて低いため縫合術を行っても治癒しない可能性が高く、術後に痛みや引っかかり感が出現することがあります。このような場合、半月切除が第一選択となります。半月部分切除または全切除を行った場合には、翌日より立つ練習を開始して、2,3日目より歩行訓練を開始します。歩行が安定すれば退院は可能です。

<膝蓋骨脱臼>

膝蓋骨脱臼とは?
膝をひねった時に膝蓋骨(おさらの骨)が大腿骨からはずれる(脱臼)ことを膝蓋骨脱臼と言います。脱臼する頻度は人によって異なります。脱臼しやすい原因がたくさんある人は不安感が強く普段の生活でも脱臼することがあります。脱臼を繰り返すと膝の軟骨が損傷し骨が変形することがあります。

レントゲンで膝蓋骨が脱臼していることがわかります

脱臼の原因
膝蓋骨の脱臼素因として靭帯損傷や膝関節の形態異常、関節弛緩性(関節のやらかさ)などがあります。様々な脱臼素因の中でも内側膝蓋大腿靭帯(ないそく しつがい だいたいじんたい)の損傷が注目されています。この靭帯は膝蓋骨が脱臼すると断裂してしまい、完全に修復されることはありません。膝蓋骨の内側と大腿骨の内側とをつなぐ靭帯で、膝蓋骨が外側に脱臼するのを防いでくれます。

治療方法

<保存治療>
装具を用いた保存治療で膝蓋骨の不安定性を確実に抑制することは困難であり、スポーツの継続は勧められません。保存治療による再脱臼の頻度は約40-60%と言われています。脱臼素因が少ない方には比較的有効な方法です。

<手術治療>
再脱臼予防には有効な治療法です。いろいろな手術方法がありますが自分の腱を移植して損傷した内側膝蓋大腿靭帯を再建(もう一度作り直すこと)する方法が近年注目されています。ほかの手術方法に比べると再脱臼の頻度がかなり低く、術後のリハビリ期間も短くなっています。

再建方法は、本来の内側膝蓋大腿靭帯の骨への付着部に骨孔(トンネル)を作成して、移植腱を挿入します。移植する腱は内側ハムストリング腱(主に半腱様筋腱)を使用しますが、採取による筋力低下などの合併症はほとんど認めません。移植腱の固定にはチタン合金性の小さなボタンを用います。

膝蓋骨脱臼は高い頻度で関節軟骨損傷を合併しており、時には骨折を伴っていることがあります。これらは膝関節を保護する大事な役割がありますので同時に治療を行う必要があります。骨折に対しては骨片が小さい場合には摘出を、大きい場合には骨接合術を行います。

膝蓋骨脱臼には様々なパターンがあり、患者それぞれの膝蓋骨の動きのパターンを評価して適切な手術方法を検討します。

膝蓋骨の動きには上図のように様々なパターンが存在します。(我々の研究結果から)

術後の経過

当院での入院期間は3~4週間です。術直後から膝装具(ニーブレース)を用いて膝関節を固定しますが、術翌日から車いすを用いて病棟内での移動は可能となります。膝周囲の筋力を強化する訓練なども開始します。
ニーブレースは自分でとりはずしてアイシングしたり汗を拭いたりすることも可能です。

術後2週間経過してから可動域訓練(膝を曲げる訓練)開始、部分荷重開始

4週間経過してから全荷重開始

術後3カ月からジョギング、4か月からジャンプ、5か月からサイドカットなどの膝のひねり動作を許可しています。

練習への部分復帰は6カ月以降、試合復帰(全力動作)は7~8か月で許可しています。


変形性膝関節症、膝関節骨壊死
当院では膝関節機能を温存できる高位脛骨骨切り術を積極的に行っています。詳しくはこちらを参照してください